2 既視感

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 週二日だった休日は週一に減ってしまい、若いはずの二十一歳の肉体は常に疲労を訴えている。  なんだか、往復が会社と自宅だけとぼやいているサラリーマンのようだが、眞昼はただのアルバイト店員だ。時給は最低賃金に毛が生えた程度である。  労働基準法がん無視の長時間労働だが、個人経営で小規模のスーパーなんて、どこも似たような状況だろう。  勤務時間だけ見れば明らかにブラックな職場なのだが、店長とオーナー夫婦がいい人なので(いい人がそんな働き方をさせるものかという声が聞こえてきそうだが)    特にやりたいこともない眞昼は、この店を辞めるつもりはない。 「まあ、とにかく今は次の住まいを探さないと、だな……」  反応の鈍いノートパソコンも、しばらくすればサクッといかないまでも言うことを聞いてくれる。眞昼は、汗が頬をしたたり落ちても拭わず、不動産サイトを順に検索していった。 「スマホなら寝転びながらでも、サクッと調べられるんだろうけどなあ」  驚かれるかもしれないが、眞昼は(いま)だにガラケーユーザーだ。    機種変更せずに数年が過ぎ、現在も何の支障もなく使っているのでそのまま継続している。更新のたび、携帯ショップの店員に微妙な顔をされるのさえ気にしなければ、何の問題もない。  元々は経済的な事情からだったが、今は機種変更するのが単に面倒なのだ。  格安スマホなら眞昼だって支払いは可能だし、様々な機能がついててゲームなんかもできるし楽しそうなのだが……。  
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