13 本当は傍にいたい

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「離れたくないな……眞昼。おまえの傍に、いたいよ……」  自分の口から出たとは思えないほどの、弱弱しくて情けない声だった。    晃夜は根っからの負けず嫌いで、滅多なことでは弱音を吐かない。  父や祖母の前でもそうだった。そう貫いてきた。  けれど、眞昼のこととなると、途端に弱い自分が顔を出す。眞昼のことを想うたび、普段は胸の奥底に仕舞いこんである心の柔らかい部分が反応してしまう。 「眞昼……」  また携帯が振動した。今度はメッセージアプリだった。予想通り、画面には眞昼の名が表示された。 「――えっ?」  画面上の『おまえが迎えに来るまで帰らない』というメッセージに、急いでアプリを開いた。 「冗談だろ」  眞昼からの着信を無視続けている後ろめたさもあるせいで、そのメッセージは晃夜の胸に突き刺さった。 <いい加減電話無視すんな> <おまえがそのつもりなら俺にも考えがある> <俺は元の職場に戻る> 「は? 何言って……」 <おまえがそばにいないなら会社にいてもしょうがない>  特に最後の文は、晃夜を動揺させるのには充分だった。 「何、子供みたいなこと……」  思わずギュっと携帯を握りしめる。再びポコッと軽快な音と共にメッセージが表示された。 <おまえが傍にいないと困るって俺が言ったの忘れたのかよ> 「――忘れるわけないだろ......」
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