13 本当は傍にいたい

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 晃夜にとって、眞昼に言われて一番嬉しかった言葉だ。忘れるなんてありえない。 <とにかく迎えに来い> <本気だからな> 「まじか……」  晃夜が眉間を押さえている間にポコポコとメッセージが届き、そして静かになった。 「本気なのかよ、眞昼」  眞昼からの電話には出なかったくせに、焦ってトーク画面を開き全て既読になった。眞昼はどう感じているだろう。  そうだ、眞昼は怒っている。  当たり前だ。晃夜が生き別れの兄弟だと知った時の眞昼は感動して泣いていたし、これからはずっと傍にいられると思っていたはずだ。  なのに、晃夜は海外行きの希望を出したのだ。眞昼から離れるために。  裏切られた、と感じているかもしれない。 「誰よりも大切で、大事にしたいのに……全然出来てないな」  晃夜はフッと苦いため息を落とし、立ち上がった。スラックスに付いた土埃を勢いよくはたき、歩き出す。  自分から離れようとしたくせに、眞昼に会いたくて仕方がなかった。 ♢ 「すでに懐かしいな」  数ヶ月前まで眞昼の職場だったスーパーの裏口に、晃夜は立っていた。  正面入口ではなくここへ来たのは、元従業員の眞昼なら、バックヤードにいると思ったからだ。  しかし、ノックをしようとした晃夜の手は止まった。 「ここには……もういないな」  裏口のドアを見つめても、この中に眞昼がいるとは思えなかった。  晃夜と眞昼は二卵性の双子だ。だから、双子でも顔は全く似ていない。  けれど、眞昼と再会して一緒に行動するようになり、気付いたことがあった。
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