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14 絆
ブランコを揺らすと、ギイギイと変な音がした。
なんだか今にも鎖が切れそうな音だ。隣にもう一つぶら下がっているのだが、誰かが無茶な乗り方をしたのか、鎖が上の方で絡まってしまっていて、とても使い物にならない状態だ。だから、今座っている方にしか乗れない。軋む音が嫌なので、揺らすのを止めて静かに座ることにする。
平日、陽の落ちかけた時間帯。公園には眞昼以外誰もいなかった。
眞昼が学童保育を卒業した高学年の頃は、ランドセルを玄関に放り投げ戸締りしてから、日が暮れるまでこの公園や団地の周りを走り回った。今時の小学生達は放課後、外で遊んだりしないのだろうか。
「二十一歳の俺はこんなところで何やってんだろうな……」
もし顔見知りに出くわしたら、何と言い訳すればいいだろうか。いや、それは恥ずかしいので誰にも会いたくはない。
会いたいのは、ただ一人だけだ。
晃夜と双子の兄弟だとわかってからも、眞昼の彼への気持ちは変わらなかった。寧ろ、想いはますます募っていった。
恋心と、双子の片割れとしての純粋な愛情。その相乗効果なのか、会って触れたいと思ってしまう。
一緒にいられなかった十七年分、四六時中くっついていたいと。とにかく晃夜が傍にいないと淋しかった。
眞昼の中で、恋情と兄弟愛が交差して膨らんで、どうにもならなくなっている。
だめだ、柊崎に会えないと、感情がぐちゃぐちゃになりそうで、怖い。
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