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「なんで俺、この若さでこんなに面倒くさがりなんだろう……。スマホなら部屋探しもサクッとできるんだろうに」
面倒くさがりというのも事実だが、現状を少しでも向上させようという気にならないのだ。自分でも不思議になるほど、気力が湧かない。
ふう、と軽いため息を吐いた後、眞昼は自分の手の平に視線を落とした。ギュッと握ったり開いたりしてみる。
遠い昔、記憶の隅に微かに残る温かい手のぬくもり。
もし、あの温かい手の持ち主が今も傍にいてくれたなら――。
「スマホのメッセージアプリとかで、毎日のようにやり取りしてたのかなあ」
つい、そんなことを呟いた。
自分でもバカみたいだと思うけど、あの温かい手があれば、どんなことも乗り越えていける気がするのだった。
漠然と。
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