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真実はすぐ近くにあって、探し求めていたのは弟の手だった。
兄だと思い込んでる眞昼を、晃夜はどんな思いで見つめていたのだろうか。
いったいどんな気持ちで、あいつは俺の傍にいたんだろう。
俺が思い出すの待ってないで、さっさと打ち明けてくれればよかったのに。
きっと晃夜なりに、眞昼のためを思い、待っていてくれたのだろうけど――。
本当に俺が兄貴なのか? どちらかといえば俺が弟で、あいつの方が頼れる兄貴って感じだよな。
いくら考えても、晃夜が何を考えているのかわからなかった。
初めから生き別れの兄弟だと告げられていたら、眞昼は迷わず父の会社へ行くことを選んでいた。
スーパーの仕事は好きだけど、自分から店長とオーナーに掛けあって、円満退職にする。そして、喜んで晃夜の下で働いたはずだ。
なのに、まるで初対面の他人のように晃夜は眞昼の前に現れた。眞昼が中学時代のことまで忘れていたら、もっと警戒していたかもしれないのに。
名前も、渋ってなかなか教えてくれなかった。
「どうして……」
なぜ、なぜ晃夜は、わざわざ難しい形で再会したのだろうか。
「なんでだよ、柊崎」
――でも。
もしも、初めから兄弟だと知っていたら、自分は晃夜に恋しただろうか。否、なのだろうか。
「最初から、元同級生じゃなくて、双子の弟だって言われてたら……」
血の繋がりを知っていたら、眞昼は晃夜に恋をしなかったのだろうか。
――本当に?
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