14 絆

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「わかってるよ。眞昼が同僚として、兄弟として、俺を好きでいてくれてるのはわかってた。だから……俺は弟として傍にいようと思ってたんだ。――傍にいられればそれだけで充分だって」 「え……」  柊埼は何を言ってるんだ?   眞昼は茫然としたまま、晃夜の言葉に耳を傾けた。 「おまえんちで飯食ったり、仕事先を一緒に回ったり。毎日本当に楽しくて幸せで、ずっと実現させたかったことが日常になってさ……。でも、贅沢になってきたんだろうな。眞昼と一緒にいられればいいと思ってたはずなのに、それだけじゃ足りなくなって」  苦しそうに囁く晃夜の声が、眞昼の耳から胸の奥に染み入ってくる。 「眞昼の弟って立場だけじゃ満足できなくて……」  どういうことだ? それって、まるで……俺の気持ちがバレたんじゃなくて、柊埼の気持ちが俺と同じみたいに聞こえるんだけど……。 「それ、俺と同じだよ! 俺だって……」  眞昼は思わず叫んでいた。 「眞昼?」  晃夜の腕の力が緩み、眞昼が身体を動かせば呆気なく拘束が解けた。振り向くと、晃夜と視線が重なった。 「俺、柊崎が好きなんだよ」 「――え?」  こんな風に、無防備な晃夜の顔を見たのは、初めてではないだろうか。 「入社して、一緒に仕事して面倒見てもらってるうち、柊崎が好きだって気付いた。――おまえと俺が双子の兄弟だとわかったときは、そりゃ嬉しかったけど、同時に苦しかった。この気持ちを抑え込まなきゃって、思ってたから……」  
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