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無性に抱きつきたいけど、まだこうして見つめ合って沢山話したかった。
「俺、柊崎に恋してるって自覚したとき、叶わない想いだって、バレちゃいけないって……必死で隠してた」
「俺だって同じだよ。……兄弟として眞昼の傍にいる自信がなくなって、それで、無理にでも離れた方がいいのかもしれないって、自分を追い詰めた」
晃夜の移動願いは、苦渋の決断だったようだ。そこまで自分を追い詰めていた晃夜に、愛しさが募る
兄弟としては立場が逆転してるけど、これからは俺が全力で柊崎を支えていきたい。
眞昼は手を伸ばし、晃夜の頬をそっと包んだ。その手の上に、晃夜の手の平が重なる。
「片想いじゃなくて、実際は両想いで、眞昼は俺を好きでいてくれたんだな……夢みたいだ」
「うん、俺も」
晃夜の不安げな表情が消え、本当に嬉しそうに微笑むから、眞昼も幸せで胸がいっぱいになる。
「結構早い段階で、川村主任にはバレたけどな」
「は? なんでここで川村さんが出てくるんだよ」
「担当が柊崎から主任に代わっただろ? そんとき飲みに連れて行ってもらって、そこで」
「えっ……あの人そんなに鋭いのか、……意外だな」
口説かれたことは、内緒にしておこうと判断する眞昼だった。
「なあ、俺、これからも柊崎を好きでいていいんだよな」
晃夜の目をのぞき込めば、月の光が反射した黒い双眸が眞昼を見つめ返した。綺麗だな、と思った。
「当然。俺は二度と、眞昼の傍を離れないよ」
晃夜の整った顔が近づき、その瞳に吸い込まれそうになりながら、眞昼が目を閉じる。闇の中、二人のシルエットが重なった。
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