136人が本棚に入れています
本棚に追加
/150ページ
3 元同級生?
♢
週に一度の休日は、その日は普段できないことを片づける貴重な日だ。掃除洗濯、一週間分の食糧の買い出し。
母が長年フルタイムだったから、一緒に暮らしていた頃から家事は分担制だった。
ただ、洗濯だけは母に任せきりにしていた。なぜなら眞昼の勤務時間は母よりも長く、母が起きる時間帯に自宅を出て、母が食事を済ませ入浴する頃に帰宅するのが常だったからだ。
けれどこれからは誰に頼ることもなく、家事を全て一人でこなさなくてはならない。眞昼は同年代の若者と比べたら家事をそつなくこなせる方だと自負しているが、とにかく時間が足りない。
やっかいなのは洗濯だった。
帰宅後の夜九時から十時頃に洗濯機を回すのは近所迷惑になるから、出勤前に何度かチャレンジしてはみたのだ。
けれど、朝の忙しい時間帯に素早く洗濯物を干すことがあまりにもしんどくて(仕事に行く前に疲労感でいっぱいになる)早々に諦めてしまった。
だから、貴重な週に一度の休日が一週間分の洗濯や掃除、食料や消耗品類の買い出しで一日潰れてしまう。本音では、好きな映画のDVDを借りたり、雑誌で見た美味しいスイーツを食べに街へ出かけてみたい。
なのに……。
せいぜい家事の合間に録りためた連続ドラマを見たり音楽を聴いたり、買い出しのついでにスーパーのスイーツコーナーでリーズナブルなケーキを買い自宅で食べる、というのがお決まりになっている。ほとんど諦めの境地だ。
一週間ぶりの休日は朝から気持ちのよい晴天だった。前回は曇りのち雨だったから、今日はついている。
最初のコメントを投稿しよう!