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ダッシュボードへ額を押し付ける眞昼に、晃夜が驚きの声を上げる。
「体調悪いのか?」
心配そうな声に、また胸がギュン、と疼いた。
「違う、ドキドキしてるだけ……おまえが予告なくチューとか、するからだろ」
「えっ……ダメだった?」
「――ダメじゃないけど、う……嬉しい、けど」
すぐ横で、晃夜がふっと笑う気配がした。
「よかった、喜んでもらえて」
「よっ……」
口をもたつかせる眞昼の頬に手の平を滑り込ませ、晃夜が近づいた。
「この後、もっとドキドキさせる予定だけど……眞昼が嫌なら俺は待てるよ」
「へっ……」
はっきり言わなかったが、きっとこれから眞昼の部屋に行くんだろうな、とは思っていた。
祖母がいる晃夜の部屋ではなく、一人暮らしの眞昼の部屋へ。
二人きりになれる場所へ。
でも俺……具体的なこと何も考えてなかったかも……
「えっと……」
眞昼はシートベルトを装着しながら、やっと一声発した。なんだか、顔から肩、背中まで熱い。
静かに車が発進する。
パーキング内をUターンした後、晃夜の指が眞昼の手の甲をすっ、と撫でた。
「ぁっ……」
「俺は、眞昼を抱きたい」
熱さが、背中から腰まで広がっていく。
「ずっと、そう思ってたんだ」
「ひ、柊崎……」
たっぷり時間をかけて眞昼が運転席に顔を向けると、刺すような鋭い視線につかまった。
――あ……俺、これから柊崎に食べられちゃうんだ……
甘い予感に身体が震える。
自分は、まるでライオンに狙われた草食動物だ。
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