15 誓い

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 けれどすぐに、力が抜けていくのを感じた。――もう、一秒も晃夜に我慢させるのは嫌だった。 「眞昼……いいの?」 「……うん。俺、自分に自信がないからこういうときチョービビりになるんだ。だから――その、おまえに、がっかりさせるかもって、余計なこと考えてる……」  父の会社で一緒に働くうち、有能な晃夜の姿を目の当たりにした。上司から期待され、同僚から羨望の眼差しを向けられていた。  移動の噂が立ったとき、女子社員達の様子から晃夜の人気の高さを察した。社長室の秘書の女性だってそうだ。 「まったく……眞昼は、なんでそんなに自信がないんだか。がっかりするわけがないのに」 「だってさ! うちの女子社員レベル高いだろ? みんな可愛かったり綺麗だったりで。だから……そりゃ、おまえを好きな気持は誰にも負けないつもりだけど」 「そこは「つもり」じゃなくて「負けない」って断言して欲しいな」  優しく髪を撫でられ、晃夜への愛しい想いで身体中満たされる。抱きしめていたつもりが、眞昼の方が強く抱きしめられていた。 「――負けない……好き」 「俺は、ずっと眞昼ひと筋だから誰に何を言われようと、それだけはブレない自信がある」  ――あ、これは既に何人かに告られたな  綺麗にメイクした彼女達の顔が頭の中に浮かぶ。  ごめん、こいつだけは絶対に渡せない。――俺のものだから。 「うん……俺も」  二人は狭い玄関で抱きしめ合っていから、靴も履いたままだ。気持ちを確かめ合った今は、そんなことは些細なことだけれど。    
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