15 誓い

15/15

136人が本棚に入れています
本棚に追加
/150ページ
「は? あのクソ親父にドキドキしたのかよ」 「柊崎に似てるから、ドキドキしたんだよ!」  実の父親相手に本気で嫉妬している晃夜が、なんだか可愛く見えて愛しくて、眞昼は晃夜の唇にそっとキスをした。眞昼から仕掛けるのは初めてだ。  すると、驚いた表情の晃夜の顔が真剣なものに変わった。 「……どうした柊崎?」 「そう遠くない将来。香帆(かほ)さんと親父が結婚すれば、俺たちも自動的に籍を入れることになる。あの二人は式も披露宴を派手にやりそうだけど。――その後、俺と二人きりで、二人だけの結婚式を挙げて欲しいんだ」 「柊埼……」  眞昼は晃夜の目を見つめた。その眼差しはどこまでも澄んで真剣で、本当に自分が、晃夜からひたむきな想いを向けられているのを実感する。  鼻の奥がツンとして、眞昼の視界がたちまちぼやけて、温かい液体が潤んでくる。 「俺たちがいつか、年とって白髪になって、よぼよぼの爺さんになって死ぬまで、ずっと俺の傍にいて欲しい。いいか眞昼、これはプロポーズだぞ」 「あ……」  涙が瞼から溢れ、目尻から耳側へ流れる。その涙を、晃夜の指がそっと拭った。 「眞昼……返事は?」  嗚咽(おえつ)を堪え、眞昼は何度も頷く。 「……うん、俺も、ずっとずっと、柊崎と一緒にいたいよ。絶対に離れない」  引き合うように顔を近づけ、唇を重ねる。神聖な誓いのキスだ。  それは飽きることなく、何度も何度も、繰り返された。  ベッドの中の二人の手は、しっかり繋がれていた。    了 2021.11.7
/150ページ

最初のコメントを投稿しよう!

136人が本棚に入れています
本棚に追加