3 元同級生?

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 眞昼に貯金はないが、健康体で持病はない。風邪は滅多にひかないしアレルギーも持っていない。自慢できることといったらそのくらいだから、誰に差し出しでも恥ずかしくない臓器だと自信を持って言える。いや、誰にもあげたくはないけれど。  そんなことを考えていたら不安になってきた。俺って騙されやすい、いいカモなんじゃ……。 「いやだ! 臓器は勘弁して!」 「は? ……臓器?」  眞昼はドアを閉めようと強引にドアノブを引っ張るが、男の足が滑り込んできたためガンッと派手な音が響いた。 「おい、何言ってんだよ。なんか誤解してるようだけど。おまえの臓器もらっても困る」 「おまえ」と呼ばれても不快感はなかった。(むし)ろ……  ――怪しいのに、なんだろ……もっとこいつと話したい気がする  自分のそんな感情が不思議で、眞昼はドアを引っ張る力を緩めた。 「……俺の臓器を売りさばくんじゃないの?」 「誰がそんなことするかよ。そもそも、どこで買い取ってくれるんだよ」 「いや、知らないけど……」  しばらく沈黙が続いた。 「あんたが俺に名前を教えたくない理由は何?」  彼はわざとらしくポカン顔を作り小首を傾げた。眞昼は「何をとぼけてんだよ!」叫び、彼の鼻先に指を突き付けた。  しばらく見つめ合う格好になってしまうが、眞昼はかまわず彼の目をじっと睨み続けた。  奇妙な時間が流れるうち、先に降参したのは眞昼だった。 「なあ、名前くらい教えてくれたっていいだろ。なんでだよ」  彼は口の中でモゴモゴ言った。途端に、スマートな対応を貫いていた人物の皮が剥がれる。
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