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ひんやり滑らかな感触を、手の平で感じる。
「子供は体温が高いから、手だって温かいもんだろ、お前の兄貴の手が、今現在も温かいとは限らないぞ」
「え、そうなの?」
「そうだよ、こんな風に」
晃夜は、握った手に力を入れてくる。そしてぐいっと引っ張られた。
「わっ!」
ころん、と眞昼の体は晃夜の膝の上に倒れ込む。そのままの体勢で、ギュッと抱き締められた。
「ちょ、ちょっと……」
「ハグだろ。まだ慣れてなかった?」
「いや、だって、こんなの、違うだろ!」
――ハグじゃなくて、完全に抱きかかえられている状態なんだけど!
それでも、平然としている晃夜に、自分だけ恥ずかしがっているのは、どうかと思えてくるから不思議だった。それに、晃夜の引き締まった腕が心地好い。
「これも、ハグ、か」
眞昼は観念して、その背中に腕を回した。笑ったのか、ふっと耳元に息がかかる。近い将来、兄弟になるかもしれないこの男は体温が低いのかな、と思った。
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