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「では、こちらの、新しく作成したプランで進めさせていただきます」
眞昼はテーブルに広げた書類を急いでまとめた。隣に座る晃夜は既に手早く片付けている。
新人の眞昼が初めて任されたクライアントは、フランス料理店のオーナー夫妻だった。夫妻は「楽しみだねえ」「そうね」と言いながら、笑顔で互いの顔を見合っている。眞昼と晃夜は揃って一礼した。
「もし、変更などございましたら、私、保高の携帯に直接連絡をください」
「散々話し合って決めたからねえ、もう大丈夫だと思うけど」
「ええ、そうよ」
夫妻はニコニコしている。眞昼は素直に、いいなあ、と思った。オーナー夫妻は年の頃は還暦を過ぎているようだが、こっちが赤面してしまうほど仲睦まじく、人前でも堂々と互いを褒める。ご主人が帰国子女らしく、打ち合わせのときもオーバーアクションで豪快な人柄が垣間見えた。
眞昼は、前の職場のオーナー夫妻を思い出した。あの二人はしょっちゅうケンカしていたが、基本的には仲が良かった。
店を出た後、眞昼と晃夜は車に乗り込んだ。この後会社に戻り、再度綿密にプランや日程の確認をするのだ。
「担当窓口は保高だけど、クライアントからの問い合わせは、どんな些細な内容でも俺に聞いてから答えるようにしろよ」
「うん、わかってる」
「くだけた内容ならお前にまかせるけど」
眞昼は、ハンドルを握る晃夜の手から視線を外さずに訊いた。
「くだけた内容?」
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