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口もとは笑いを堪えるように歪んでいるが、それも様になっているのが癪に障る。
「いや……だってお前、女性社員に話しかけられるたびに赤くなってアワアワして、いかにも女馴れしてないように見えるからさ」
「うっ」
眞昼は何か言い訳を考えてみたが、早々にあきらめた。はあ、とため息が漏れた。
「――付き合った子はみんな年下だったし……。ばっちりメイクした大人の女の人って見慣れないから。ここの人達、みんなそうじゃん? いかにも大人~って感じで、なんか……怖いんだもん」
「もん」と同時に、晃夜が吹き出す。コーヒーを飛ばさずに済んだが、肩を震わせて笑っている。
「そんなにウケるとこかよ!」
眞昼はふて腐れてコーヒーを啜った。眞昼の好み通り、ミルク入りだった。
「過去の彼女、年下ばっかりだったんだ?」
「うん。一年前の子は高校生だった」
「高校生? ……へえ」
ん? その含みのある視線は何?
「最初の日、年上の綺麗系がタイプだって言わなかったか?」
「すいませんね! 願望だよ! 無謀な発言でしたよ! ……もういいだろー、仕事しようぜ」
「そうだな、当分保高の恋人は仕事ってことにしとけよ」
「そ、そうだよな、俺なんか全然未熟だし彼女がどうのとか言ってる場合じゃないもんな。すいませんね、仕事第一にがんばりますよ!」
「そうそう、その意気だよ」
二人で軽口を交わしながら、手元から仕事モードに切り替えていく。タブレット内のカタログを開き、変更のあった部分の商品番号などを二人の目で確認していった。
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