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「いや、なんか超絶に照れるな! ごめん、変なこと言ってるかも俺。そもそも柊崎は仕事で俺と一緒にいるわけだし、いろいろ迷惑かけて面倒くさいかもしれないけどさ」
「おい」
椅子を引く音がして、すっと右手が解放される。あっと思ったときには、晃夜はすぐ横に立っていた。
「立って」
「えっ」
言われるまま、のっそり立ち上がる。晃夜の目が、ちょうど眞昼の目線と同じになった。
ダイニングの蛍光灯に照らされた晃夜の顔色は、少しだけ青白く見える。
瞳はよく見るとダークブラウンで、まつ毛が長い。眞昼も男のわりにまつ毛が長く、母親ゆずりの「女顔」と揶揄されることが多いが、晃夜は対照的に男らしい秀麗な顔立ちだ。
「何、人の顔見てにやにやしてんだよ」
「えっ? にやにやしてた? 俺」
晃夜の腕が眞昼の首に回り、ギュッと抱きしめられる。
「柊崎?」
「お前にそんな風に言ってもらえて……俺だって、嬉しいよ。保高が来てくれたから仕事がより楽しくなったんだ。だから迷惑じゃないし、面倒くさくもない。お前と再会できてよかったって思ってる。いっそ親父に感謝したいくらいだ」
晃夜の言葉が嬉しくて、眞昼もその背中に両手を回して、きゅっと抱きしめた。
「俺も……兄弟になるのが待ち遠しいな」
「そうだな、二人に葉っぱかけるか」
二人分の静かな笑い声が心地よかった。これから先もずっと、晃夜とこんな関係を築いていけたらいいのに。そう思った。
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