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「年子の妹さん……ですか」
眞昼は兄と四歳まで一緒に暮らし、その後父が兄を連れて家を出たと考えている。姉と、しかも年子の妹がいるなら、川村が兄である可能性は低い。父が再婚していれば可能性は残るが、そこまで突っ込んで訊けない。
「なに、そんなこと訊いてどうするの。保高くん、俺に興味あるわけ?」
「あ、いえ、すみません、立ち入ったこと訊きましたよね」
正面に座った川村の右手がスッと伸び、眞昼の左手に重なる。突然のことに反応できず固まっていると、川村の口元がやや意地悪そうに笑った。
「いーよ、なんでも訊いて。じゃんじゃん答えちゃうからさ。ちなみに俺は、保高くんに興味あるなあ。ねえ……柊崎くんはやめて俺にしときなよ」
手の甲に重なった手が、ギュッと握ってくる。そりゃ、この手に握られたらどんな感じだろうと考えた事はあるが、この状況はいったいなんだろう。
「それってどういう…・・・? あの、主任、相当酔ってますね」
川村の表情は穏やかだが、左手は動かせないほどがっちりホールドされている。
「実は俺、男女どっちもいける派でさ。性別関係なく恋愛できるんだよね。君も俺と同じだと直感したんだけど、ハズレ?」
「ちっ違いますよ、俺は普通に女の子が好きだし。それに、柊崎は関係ないですよ」
投げられた言葉に、眞昼は平静を保てなくなった。意味もわからずカーッと顔が熱くなった。
「えー、だって保高くん、柊崎くんのこと好きでしょ。そういう意味でさ。見てればわかるよー、そんなの」
「は?」
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