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どういうことだ?
意味がよくわからない。川村が自信ありげにクスクス笑っているから、意味よりもその表情と言い方が、馬鹿にされているような気がしてムッとした。
「そりゃ、柊崎さんは、尊敬できる先輩だし……」
いつもの眞昼なら、こんな場面でスルーすることに慣れている。元の職場ニコニコストアでは、あらゆるタイプの客を対応をしてきた。中には理不尽なクレームを押し付けてくる輩もいて、それにいちいち腹を立てていたら仕事にならなかった。
けれど、眞昼のことだけではなく、晃夜のことまで馬鹿にされたような気がして、腹の中のムカムカはどんどん膨らんでいた。久しぶりにアルコールが入ったことも拍車をかけた。
「あの、それ……悪口っぽく聞こえるんですけど」
「えっ」
眞昼はジョッキをドン、とテーブルに置いた。
「保高くん?」
「柊崎はすごく熱心に、俺のためにいろいろ教えてくれます。俺が不安にならないように気を遣ってくれてるのも伝わってくるし、とにかく、あいつのおかげで俺、仕事が楽しいんです。だからあいつのこと好きで大事だし、慕ってますよ。それってダメなんですか」
話しているうちに、ムカムカは怒りに変わっていた。
「え? いや、困ったなあ、そんなつもりで言ったんじゃないよ」
眞昼はグイッとビールを呷った。
「おかわりお願いします!」
「ちょっと保高くん、目が据わってるよ、あんまり強くないのかな、ソフトドリンクにでもしたほうが…」
「生中お願いします!」
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