8 恋慕事

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 え、なにやってんの、俺。 「あっ、ご、ごめん」  晃夜も驚いたのかポカンとした表情になる。自分の反応に、眞昼自身驚いていた。 「やっぱり痛むのか?」 「いやっ、全然、ちょっとびっくりしちゃって。……平気だから、心配かけてごめん。あの、整形外科、川村主任に聞いて行ってくるから」 「なるべく早めに行けよ。経理に湿布剤置いてるから、貰ってとりあえず貼っとくといい」 「そうする。……ありがと」  薄い笑顔を浮かべ、晃夜は自分のデスクへ戻っていく。眞昼は泣きたい気持ちになりながら、経理課へ急いだ。  経理課で、女子社員に湿布剤を貰う。その隣の席では、もう一人の兄候補である山下が電話中だった。背が高くひょろりとした体形の川村とは対照的に、ややぽっちゃり体形の山下。  その姿を横目で確認しながら、自分の頭の中は、もはや他の事でいっぱいなのだと実感した。  オフィスへ戻ると、つい晃夜の姿を目で追ってしまう自分がいる。真剣な表情で書類に目を通している横顔を見て、頭を掻き毟りたい衝動にかられるが、ぐっと抑えた。  柊崎は心配してくれてるのに、あんな、避けるような態度とっちゃうなんて。バカだろ、俺。  頻繁に席替えをするこの職場では、数日前まで眞昼のデスクは晃夜の隣だった。けれど、現在は川村の隣へ異動している。  そのおかげで、自分の中に登場したややこしい感情に、振り回されず職務に集中できるのはありがたいのだが。 「保高くん、夕べ無事に帰れたの? 俺が送ろうとしたら、「大丈夫です」の一点張りだったから、心配したぞ~」
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