2 既視感

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 IT企業とかなら、若くても高給取りだったりするんだろうけど。  歩き方もスマートでかっこいいなあと、眞昼はぼんやり思った。  ひっそり観察していたつもりが、いつのまにかガン見していたらしく、気づけば男性の視線は真っすぐ眞昼へと向けられていた。    そして、そのまま彼はこちらへ歩み寄ってくる。目の前に立たれると、曖昧だった記憶が鮮明になるような気がした。 「お仕事中すみません、店長か、オーナーはいらっしゃいますか」  ――わ、声もいい……  落ち着いた低めの声。同時に、驚くほどの端正な顔立ちを前にして、自分の勘違いかもしれないとも思う。  ぽけーっと彼の言葉の続きを待つ眞昼に、彼はうっとりするような柔らかな笑顔を見せた。  男性に対して綺麗だなんて感じたことはないけれど、目の前の男にはそう形容するのが相応しい気がした。 「責任者の方に直接お会いしたいのですが、通していただけますでしょうか」  流れるような優雅なしぐさで名刺を差し出され、眞昼は端正な顔にぽけっと見とれながら受け取る。  一瞬、懐かしさが込み上げたような気がしたのに、自分の勘違いかもしれないという、相反する感情も顔を出した。  ――えらく整った顔だなあ。まさにイケメンて感じだ。 「……あ、えっと、店長はこの時間不在でして。オーナーは夜8時に来ますが、2人が不在の場合私が承ることになってます……ので」 「そうですか……」  
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