136人が本棚に入れています
本棚に追加
/150ページ
IT企業とかなら、若くても高給取りだったりするんだろうけど。
歩き方もスマートでかっこいいなあと、眞昼はぼんやり思った。
ひっそり観察していたつもりが、いつのまにかガン見していたらしく、気づけば男性の視線は真っすぐ眞昼へと向けられていた。
そして、そのまま彼はこちらへ歩み寄ってくる。目の前に立たれると、曖昧だった記憶が鮮明になるような気がした。
「お仕事中すみません、店長か、オーナーはいらっしゃいますか」
――わ、声もいい……
落ち着いた低めの声。同時に、驚くほどの端正な顔立ちを前にして、自分の勘違いかもしれないとも思う。
ぽけーっと彼の言葉の続きを待つ眞昼に、彼はうっとりするような柔らかな笑顔を見せた。
男性に対して綺麗だなんて感じたことはないけれど、目の前の男にはそう形容するのが相応しい気がした。
「責任者の方に直接お会いしたいのですが、通していただけますでしょうか」
流れるような優雅なしぐさで名刺を差し出され、眞昼は端正な顔にぽけっと見とれながら受け取る。
一瞬、懐かしさが込み上げたような気がしたのに、自分の勘違いかもしれないという、相反する感情も顔を出した。
――えらく整った顔だなあ。まさにイケメンて感じだ。
「……あ、えっと、店長はこの時間不在でして。オーナーは夜8時に来ますが、2人が不在の場合私が承ることになってます……ので」
「そうですか……」
最初のコメントを投稿しよう!