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「眞昼が入社してからずっとお預けだったからもう会いたくて会いたくてたまらなかったんだよ~、眞昼~。ほら、パパによーく顔を見せて」
「ちょっ……」
母同様、すでに息子扱いなのだろうか。初めて会う社長にいきなり呼び捨てにされて、なにがなんだか理解が追いつかず、眞昼はパニック状態だった。
しかも眼前の社長の顔は晃夜にそっくりで、それも心臓によろしくなかった。まるで数十年後の晃夜に触られているみたいでドキドキするし、社長に抱えられていなかったら床に倒れてしまいそうだった。
「眞昼はやっぱりママ似だよね。可愛いなあ~、特に目元がまつ毛長くてほら、香帆さんそっくり!」
晃夜そっくりの顔で至近距離の笑顔は破壊力がありすぎて、その勢いとテンションにもついていけず、眞昼はほとんど気を失いそうになっていた。
「あ、あの、初めまして。保高眞昼です……」
なんとか一言搾り出した。
いくら相手がフレンドリーでも、初対面なうえ相手は社長なので、一応かしこまった挨拶をする。すると社長は晃夜そっくりな顔で、ぽかんとした。同時に、母が大げさにため息をつく。
「香帆さん……?」
「この子、まだ何も思い出せてないみたいよ。晃夜も何も話してないみたいだから、この際あなたから全部説明してくれない?」
「え? そうなの眞昼?」
同意を求められても困るので、眞昼は曖昧にほほ笑んだ。
「ええ~!」
がっくし! といった感じに社長はうな垂れた。顔は晃夜そっくりでも、性格はまったく逆のようだ。
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