11 俺たちの過去

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「俺は保高の、双子の弟だよ」  慈愛に満ちた眼差しを向けられ、眞昼は言葉につまった。 「柊崎、俺、俺は……」  覚えていたのは手の平のぬくもり。それだけ。  誰よりも大切な相手だった晃夜を忘れていたくせに、どの面下げて「好きだ」なんて言えるだろうか。  血を分けた兄弟と分かっても、恋心は簡単に消えてはくれない。こうして一緒にいるだけで、ドキドキしてふわふわする。  ずっとずっと求めていた温かい手。兄だと思い込んでいた存在。けれどいつのまにか、晃夜がそれを大きく上回るほどの大切な存在になってしまった。  ――結局、同一人物だったけど。  互いの手が触れ合い、晃夜がギュッと握ってくる。眞昼も強く握り返した。晃夜が自分を大切に思ってくれる想いが、手の平から伝わってくるようで胸が痛くなる。思いの種類が違うから、嬉しいのに切なくてたまらなかった。  晃夜は、ぽつりと語り始めた。 「四歳の時、保高は香帆さん……母さんに引き取られて、俺は親父に連れられて祖父母の家に行った。あの時俺は、当然お前も後から来るものと思い込んでた。まさかずっと会えなくなるなんて、夢にも思わなかったんだ」  晃夜は、全て覚えているのだ。 「どうして四歳で引き離されたの?」  素直な疑問を口にする。 「影を潜めて生活していた俺たち三人の存在が、祖父(じい)さんにバレたんだ。当初、祖父(じい)さんは香帆さんに手切れ金を渡して別れさせるつもりだったが、親父そっくりの俺を見て、気が変わった。俺だけ引き取ったんだ」 「そんな……」
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