33人が本棚に入れています
本棚に追加
わたしたちの、わたしたちのためだけの、結婚指輪。
ラァイの無垢の白珠のほうが、よほどうつくしく、価値が高いように思うけれど、指輪職人が花珠と呼んで、ほしがったのは、わたしの真珠だった。
彼女を想って、余計に流した血の分だけ、ほのかに染まった、はしたない淡紅の。
これはラァイのために結んだ珠で、他の誰かに譲り渡したりする気はないけれど。
お金遣いの荒い伴侶のために、わたしはいつかもう一粒、二粒、養殖のアルバイトをしても、良いとは思っている。
最初のコメントを投稿しよう!