何がダメか解らない

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だけど、僕はそんな考えを数日後、改める事になった。 「さすが、企画課。こんな新しい企画出して来たよ」 ひろ先輩が目を輝かせる。これを売り込むのが俺達の手腕だぞ、と僕に言って来た。確かに企画課の新しい企画は面白い。仕事熱心だとモテる、というひろ先輩の言葉でやる気が出ている僕は、営業の仕事に夢中になっていた。だからこそ、企画のアピールポイントを探す資料を読み込むと、新しい企画の面白さが解る。 「これ、あいつが過去の資料を揃えたから比較が上手く出来てるんだろうなぁ」 あいつ、とは、この前の神谷さんか。えっ? この過去の資料部分って、神谷さんが一人で集めたの? 10年分あるけど。誰かに手伝ってもらったとしても、数日じゃ集まらない量な気がする。 いや、でも集めるだけなら簡単なのか。 「資料集めって簡単に出来るんですね」 「お前、新人だからそのセリフが許されるけど、庶務課でそのセリフを吐いたら、庶務課の課長に怒鳴られるぞ」 ひろ先輩が僕の軽い言葉に、呆れた顔で言う。そうして説明してくれたのは、元々、資料は倉庫の中で乱雑に置いてあったらしい。それを見つけるのに一苦労で、企画課から頼まれた資料集めが1週間でも見つからない事とか当たり前だったそうだ。
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