文殊

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「いいよ舞ちゃん、何でも言ってみて」  吉野が舞をフォロー。それに少しは安心したのか、うつ向きつつ彼女は小声で言った。 「じゃ、『弱肉強食』」 「は!?」  全員が舞に注目する。  目立たない彼女からそんなテーマが出ようとは、舞の内なる部分を一同は垣間見た。 「……し、自然の摂理を、テーマに、して……」  消えて行った言葉の後で緑が反応。 「ん、『弱肉強食』か……」  そして、閃いた。 「待てよ!?『ロボット』『ファンタジー』『動きがある』『ホラー』『動物』『可愛いは正義』あと……『不倫』?」  おおっ、と部員達がどよめく。 「いける!それだよ舞ちゃん!いいぞっ!」 「えっ、あ……」  全員元居た椅子に着席している。黒板には白いチョークで書かれた四文字。 「と、いう訳でみんなの意見を纏めた結果、多少こじつけな面もありますが、今年は『弱肉強食』に決まりました。テーマに沿っている、と感じられれば何でもオーケーですー!」  承認の大拍手。  このメンバーなら今年の我が部の展示も面白いものが期待できそうだ、と緑は思った。
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