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肉体を裂かれた痛みで動きが鈍った人間にナイフで上半身を素早く乱れ突き、致命傷を与えるとまた次の人間を同じ様に目にも止まらぬ速さで刺し殺した。
逃げ遅れた人や反対方向からやって来た人は彼の格好の餌食となった。2本のナイフは次々と人間の肉体を裂いて抉った。そのスピードは驚異的だった。殺人を犯しているのに迷いなど全く感じさせなかった。彼の動きに無駄は全く無かった。
行動のひとつひとつが人間を傷付ける為だけに成されていた。
彼は悲鳴を聞いて様子を見ようとコンビニから出てきた野次馬連中を通りすがり様に刺し殺し、建物の壁に追い詰められて身を寄せ合いながら身を縮めて命乞いをした二人組の若い女性を同時に滅多刺しにし、逃げ遅れた老夫婦の喉を切り裂いたついでに飲食店から出てきた男子大学生3人組を連続してナイフ投げで仕留め、一切動きを止める事無く人を殺め続けながら交差点に近付いた。
「キチガイがいるぞっ!逃げろっ!」
「警察まだかよっ!?」
「ヤバイヤバイヤバイ」
白い日傘が血飛沫と舞った。
交差点で信号を待っていた人々も、ようやくこの異常事態に気が付いた。返り血を浴びた髑髏の仮面を着けた異常者が、キレッキレの動きで周りの人達をナイフで虐殺しながら近付いてくる。
「おいヤバイぞあれ」
「逃げろ逃げろ!」
人々は散り散りに、我先にと逃げ出した。彼が連続して投げたナイフは次々に命中した。それを見て気が動転した中年女が車が行き交う車道に飛び出した。疾走していた車は中年女を撥ね飛ばしてから急ブレーキを踏んだ。現場は阿鼻叫喚となった。
若い男の腹を切り裂き、腕を突っ込んでから大腸を引きずり出し、それを目を見開いて見ていた男子小学生は腰を抜かして尻餅をついたまま立ち上がれずに大声で泣いていたが、彼は容赦せず、その子の小さな頬にナイフを貫通させてから喉、胸、横腹の順で急所を的確に突き刺した。
ここまでものの数分間。既に路上には幾つもの血にまみれた亡骸が転がっていた。
ようやくパトカーのサイレンが聞こえてきた。彼は殺人を止めようとはせず、背中にナイフが刺さって地面に倒れて悶えていた若い男の方へ歩み寄った。
「助けてください…!助けてください…!」
涙を流しながら必死に喚いた男の心臓にナイフは無情にも突き刺さった。同じタイミングでパトカーが急ブレーキをかけた。彼は咄嗟に振り向いた。
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