兄の思い

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その車から出てきたのは、あの日学校の正門で見た黒服を着たヤツらだった。 そしてその一人に俺は見覚えがあった。 翔「……コイツら……」 洋「…ん……大泉グループ…」 洋太が俺に耳打ちした。 俺の記憶が正しければ、今、目の前にいるコイツは、この前、正門付近で大泉と話していたヤツだ。 洋「…河合……悪りーんだけど、愛梨連れて中に入っててくんねーか?」 洋太は俺に耳打ちをするとその玄関の方に目をやった。 さっきの電話といい、何か切羽詰まった事情がありそうだ。 翔「…分かった……」 俺は洋太に言われたとおり、愛梨を家の中へと促した。 翔「…中、入るぞ?」 愛「…えっ…でも、お兄ちゃんが……」 翔「…大丈夫だ。兄貴に任せておけばいい。」 突然の出来事に愛梨は驚き硬直していた。 俺はそんなの彼女を囲うようにして玄関へと足を向けた。 その時だった。 『愛梨様っ!』 彼女を呼ぶその声に彼女は振り返った。 愛「…えっ…?なんで……私の名前…」 何かを感じ取っただろう彼女はその声の主をジッと見つめていた。 洋「河合……早くっ……愛梨を中へ……」 俺は急いで彼女の手を引っ張る。 翔「…愛梨…こいっ!」 愛「…でもっ…」 『…まっ…待ってくださいっ!愛梨様っ!』 またもや、その黒服が愛梨の名を呼んだことによって愛梨の足が止まる。 そんな黒服に遂に洋太がキレた。 洋「しつこいぞっ!ってか、いい加減にしてくれよっ!さっきも言ったはずじゃねーか!うちには関係ねーんだよっ!」 『お願いしますっ!話を聞いて下さいっ!』 洋「帰ってくれっ!!!」 そういうと、洋太は俺達の方を振り返り、 洋「中に入ってろっ!」 愛「お兄ちゃん…待って…!!」 洋「…っ……おまえには関係ない!河合っ!頼むっ!早く愛梨を中に入れてくれっ!」   その時だった。 『お待ち下さい!!愛梨様っ!祐様がっ…』
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