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美「…あ…王子…!」
(…王子?)
さっき教室から出ていったはずの祐が教室へ戻ってくるのが見えた。
一年の時、私が倒れたクラスマッチの日以来、美那子と樹里は彼のことを『王子』とも呼んでいる。
樹「(…近くで見たの、初めてだけど、王子ってかなりイケてるよね?)」
樹里がコソコソと私に耳打ちをする。
そんな彼が自分の席につくかと思いきや、なんと私の前で立ち止まった。
(…な…な…なに…?)
そして笑みを浮かべると、
祐「…愛梨……坂田先生が昼休みに教官室来いってさっ」
愛「…えっ?…坂田先生……?……あ…分かった……ありがと…」
それだけ言うと祐は自分の座席へと座った。
美「(…えっ?…王子って…席あそこ?)」
美那子がこそーっと言う。
椎「(そう。)」
樹里と美那子が顔を見合わせた。
樹「(ねぇ、愛梨…。もしかしてこれって『運命』じゃない?)」
…う…運命?
美「(だって、いろんなこと、重なり過ぎだよぉ…運命だよ、彼……絶対そうだってっ)」
愛「ち…違うからっ…!私の運命は…」
思わず大きな声で反論しそうになった私の口をシーナが塞ぐ。
椎「(愛梨、声デカいっ!!)」
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