再会

9/20

69人が本棚に入れています
本棚に追加
/605ページ
(…完全にそれ聴こえてますけど……) その含んだ笑みがなんとなく嫌な感じで、私は横目で先輩を睨む。 翔「まぁ…でも……おまえは仕方なかったからなぁ……ん、よくここまできたな。」 そういうと私の頭をポンポンと叩いて笑った。 落としたり上げたり何が言いたいのか分からない。 そんな私と先輩のやりとりを見ていた沙希ちゃん。 私にそっと耳打ちしてきた。 沙「(…あのぉ……水月先輩…藤沢先輩とは?)」 愛「(え?あ…うん。つきあってるよ。)」 そういうと安心したようでまた普通の声に戻し話の続きをする。 沙「そうなんですか。でも、この先輩ともなんか仲良さそうに見えるんですけど…」 愛「…そう?フツーだって。ねっ?先輩?」 翔「あぁ……フツーだよ。」 そう言った矢先、いきなり私を後ろから囲うようにして、沙希ちゃんに見せ付けるように抱きしめた。 そして先輩は彼の頬を私の頬にくっつけてくる。 愛「ちょ…ちょっと先輩!誤解を招くようなことしないでくださいっ!」 私はその囲った腕から逃げようと暴れる。 でも、先輩は更にチカラを入れてその手を外そうとしない。 翔「あれー?どうした?こんなのフツーだろ?…ん……愛梨……もしかして意識してる?」 (完全に……遊んでる……?) 沙希ちゃんは呆然として目をパチクリして私たちを見つめていた。 愛「…ご…誤解だから!この人、こういう人っ…」 私はそんな悪戯な先輩のお腹を肘打ちし、腕のチカラが緩んだ瞬間、その腕から脱出した。 そして、逃げるように沙希ちゃんを部室へと連れて行った。
/605ページ

最初のコメントを投稿しよう!

69人が本棚に入れています
本棚に追加