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(…完全にそれ聴こえてますけど……)
その含んだ笑みがなんとなく嫌な感じで、私は横目で先輩を睨む。
翔「まぁ…でも……おまえは仕方なかったからなぁ……ん、よくここまできたな。」
そういうと私の頭をポンポンと叩いて笑った。
落としたり上げたり何が言いたいのか分からない。
そんな私と先輩のやりとりを見ていた沙希ちゃん。
私にそっと耳打ちしてきた。
沙「(…あのぉ……水月先輩…藤沢先輩とは?)」
愛「(え?あ…うん。つきあってるよ。)」
そういうと安心したようでまた普通の声に戻し話の続きをする。
沙「そうなんですか。でも、この先輩ともなんか仲良さそうに見えるんですけど…」
愛「…そう?フツーだって。ねっ?先輩?」
翔「あぁ……フツーだよ。」
そう言った矢先、いきなり私を後ろから囲うようにして、沙希ちゃんに見せ付けるように抱きしめた。
そして先輩は彼の頬を私の頬にくっつけてくる。
愛「ちょ…ちょっと先輩!誤解を招くようなことしないでくださいっ!」
私はその囲った腕から逃げようと暴れる。
でも、先輩は更にチカラを入れてその手を外そうとしない。
翔「あれー?どうした?こんなのフツーだろ?…ん……愛梨……もしかして意識してる?」
(完全に……遊んでる……?)
沙希ちゃんは呆然として目をパチクリして私たちを見つめていた。
愛「…ご…誤解だから!この人、こういう人っ…」
私はそんな悪戯な先輩のお腹を肘打ちし、腕のチカラが緩んだ瞬間、その腕から脱出した。
そして、逃げるように沙希ちゃんを部室へと連れて行った。
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