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愛「…騙されてる…って…そんなっ…嘘だよ…」
(力が…私を騙してるなんて……そんなのって…)
私は信じられなくて呆然としていた。
祐「愛梨は今言ったよね?『力が好き』だって…」
愛「…う…うん…」
祐「俺じゃなくって…力を…だよね?」
愛「…うん。」
祐「じゃぁ、好きじゃなきゃ、そういうことしても感じないと思う?」
愛「えっ…」
『スキジャナイトカンジナイ?』
愛「そ…そんなの……分かんないよ…」
あまりにドキドキする質問に私は更に動揺してしまう。
祐「愛梨はまだまだ子供だよ。何も分かっていない…」
そういうと、祐はそっと私の手をとるとその甲にキスをした。
愛「…ぁ……」
祐「…クスッ……どう?…今、ドキドキしなかった?」
愛「……ぁ……し…してない…よ…」
完全に嘘―――
だけど必死に冷静さを保とうとしていた。
(そんな王子様みたいなキスをされたらドキドキするに決まってる。…ぁ…私の頬……凄く熱くなってきてる…)
祐「…そっか…。じゃぁ…コレは?」
そういうと、私が右手に持っていたレポート用紙をスッと取りあげるとそれを近くの机においた。
そしてその用紙に目をとられている隙に祐は私の両手を握ると今度は私の額にキスをして――
愛「…っ…ゆ…う…?!」
握りしめているその手を振り解こうとした。
でも、その指のチカラは凄く強くてピクリとも動かない。
祐「…どう?何も感じない?」
そう言って優しく覗き込んでくるその顔は私が好きだった表情――
穏やかでない心臓音で自分自身が壊れそうで泣きそうになった。
愛「…な…何も…感じない…から…」
そう言ってみたものの、そのキスされたところからカラダの温度がどんどん上がっていく私がいる――
(…私……ど…どうして……?)
過呼吸に陥りそうなくらい苦しくて立っているのがやっとだった。
祐「…そう…なんだ……じゃぁ…コレは…?」
そういうと、不意をついて彼は私の唇に彼の唇をそっと重ねて――
(…っ……ぁ…な…に……これ……何が起こってるの?)
その不意打ちなキスを私はただ目を見開いて見ているしかできない。
唇が離れると祐は私のその唇を指で触れ、至近距離で覗き込んだ。
祐「…愛梨の唇は…こんなに柔らかかったんだ…クスッ…」
愛「…っ…」
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