69人が本棚に入れています
本棚に追加
/605ページ
部室内―――…
沙「先輩…ダメですよ。藤沢先輩がいるのにっ。あんなの藤沢先輩が見たら怒りますって!」
翔先輩の悪戯を初めて目の当たりにして沙希ちゃんは剣幕だった。
愛「…うん。分かってるんだけど、あの人、誰にでもあれがフツーなんだよね…」
沙「だ…誰にでも?」
あの先輩の冗談に私もどれだけ大変な思いをしてきただろうか。
沙希ちゃんの気持ちも分からなくはない。
恵「…そうなの。だから沙希ちゃんも気をつけないとねっ?」
いつから話を聞いていたのだろうか。
いつの間にか恵先輩が部室内にいる。
愛「あ……恵先輩っ!」
恵「えっと……確か……沙希ちゃん…って言うんだよね?」
沙「あ…はいっ…」
恵「坂田先生から聞いてるよ。私は部長の田岡恵。さっきのヤツとは幼なじみでね。愛ちゃんも最初はそれはかなり泣かされていたんだよ。ねっ?」
沙「え?水月先輩が?」
恵「ちょっとはマシになったけどね、あの翔の女遊びも悪戯も。まぁ、これも愛ちゃんのお陰かな?」
そういうと恵先輩は意味深な目で私を見た。
愛「…な…なの…かなぁ?…でも、私も翔先輩には今は凄く助けてもらってるから…」
沙「…え?あの人に?」
恵「そうなのよ。いい跳躍コンビでね。まぁ、でも、愛ちゃんにはカレシ君がいるし…ね?」
以前、恵先輩は力と会ったことがあり、先輩にとって力はとても印象がいいとのこと。
沙「そうなんですよっ!藤沢先輩ってば水月先輩のコト、もうずーーっと見てて、野球部にいたのに陸上部まで転部してきてっ……」
愛「そ…そんなこと言わなくても…っ…」
沙希ちゃんが必死になって恵先輩に熱弁する姿を見て私は少し恥ずかしくなった。
恵「へぇ~…そうだったんだぁ?愛されてるねぇ…フフッ…」
恵先輩のニヤニヤする視線が痛いっ。
沙「だから気をつけて下さよ?藤沢先輩みたいなあんないい人裏切ったら先輩、絶対に天罰落ちますよ?」
愛「…大丈夫だよ。私……力だけだから…」
最初のコメントを投稿しよう!