王子の逆襲

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―――――――――――― ――――――――― ―――――― 祐とのキスは私の心を大きく揺さぶっていた。 放心状態が続いている今、まだその余韻で私は動くことができない。 祐「…大丈夫?」 耳元で甘く囁くその声にまたカラダが反応してしまう。 祐「…まだちょっと無理…かな…クスッ…」 そう言うと祐は私の頬をそっと手で触れ、 祐「…まだ火照ってるね……抱きついてたらおさまらなくない?」 だけどキスの余韻はまだおさまりそうになくて私は祐の胸に寄りかかって立っているのが精一杯。 崩れ落ちそうなカラダを必死で堪えていた。 愛「…ねぇ…愛梨……嫌…だった…?」 そのセリフに私は現実に引き戻されてしまう。 自分のしてしまった過ちにようやく気付いて―― 愛「…ヒドいよ……祐…」 そんな質問、答えられるはずがなかった。 初めての祐とのキス―― いけないことなのに私は感じてしまった。 (力を……裏切ってしまったんだ…) 私の目からまた涙が零れた。 祐「…ごめん……でも、ずっと……したかったんだ…」 そう言って祐は私の涙をまた指で拭っていく―― 祐「…愛梨……やっぱりまだ力が好きって思ってる?」 祐に感じてしまった自分を誤魔化すことなんてできなかった。 愛「…私……」 祐「愛梨は力が好きなはずなのにね?…俺に感じた…そうだよね?」 『好きじゃなくてもできる』ことが立証されてしまった私は困惑していた。 そして自分の力に対する想いは男と女の関係をもったからなのではないかという祐の指摘が現実味を帯びていきそうで―― 自分が分からなくなっていく―― そして祐は優しい笑みで私を覗き込んで、 祐「…ね…どうしてだと思う?」 私の心は更にかき乱されていくのだった。
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