王子の逆襲

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―――――――――――― ――――――――― ―――――― 教室から廊下に出ると窓から恵先輩や沙希ちゃん達が校舎の外をウロウロしているのが見えた。 (もしかして……私を探してる?) そこに力の姿も見えて―― (…力…っ…) 彼の姿に罪悪感に苛まれた私は足が止まってしまった。 祐「…愛梨?」 そんな私に気づいた祐は私の元へやってくると顔を覗き込んだ。 愛「…ぁ…祐……さっきの…こと…言わないで…」 隠し事はもうしないと力と約束した私だった。 でも、あんなキスを祐としたこと……そしてそのキスに感じてしまっただなんて絶対に知られたくない。 愛「…お願い…」 祐「…いいよ。言わないよ。でも…その代わり、ひとつ……いいかな?」 愛「えっ?」 そういうと祐は廊下の壁越しに私を押しやると、私のジャージの上着のファスナーを手早く下ろした。 愛「…え……祐…っ…」 そしてその首筋に顔を埋めて―― (えっ…) 首筋に祐の唇が触れるとカラダが震えた。 愛「…あぁっ…」 祐「…じっとしてて……すぐ終わる…」 そしてその瞬間、軽い痛みが走った。 (…ぇ……あっ……) 気づいたトキには遅くて、祐がその首筋から顔を上げたところだった。 それは記憶のある痛み。 (つけられた…?キスマーク…!?) 私のその上着を直しながら悪戯っぽく祐は笑った。 祐「…ねぇ…今日も……力と…するの?…クスッ…」 愛「…そんなの…」 祐「…して……みなよ?」 それは『祐』という存在が一気になだれ込んできた瞬間だった。
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