空白の時間

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振り向くと数十メートルほど離れた校舎の裏側から水月が歩いてきていた。 力「水月っ!?」 俺は彼女を目掛けて全速力で駆けていった。 ……ガシッ…… そして彼女を抱きしめた。 力「…心配した…」 愛「…力…」 力「ったく、おまえはっ!何処に行ってたんだよ!?」 愛「ごめん。これ…取りに行ってて…」 そう言って彼女は俺に数枚の用紙を見せた。 力「…これ……なんだ?」 愛「えっと…宿題のレポート用紙で…」 力「…えっ? ってことはおまえ……校舎にいたのかよ?」 愛「うん…」 窓の鍵がどこも開いていないのは確認したはずだった。 なのに校舎内にいた?! 力「水月、俺、窓の鍵確認したけど、全部閉まってて入れなかったぞ?おまえ…どうやって入ったんだ?」 愛「…えっと……私のクラスのある……校舎の一階の……ぁ……ご…ごめん…その…開いてたところも閉めちゃってたかも…」 (は?…な…なにぃーーー!?) それで唯一開いてた窓も含めて全部閉まってたということか!? 力「おまえなー……いい加減にしてくれよ…」 愛「…ぁ…ごめん…」 そんな俺たちを見ていた崎田が俺を宥めるように言った。 崎「力…とりあえず見つかったんだからいいんじゃないのか?」 そうは言うけれどどれだけの人に迷惑をかけたのかを考えると俺はまだ言い足りなかった。 力「あのさぁ、水月……崎田だけじゃなく部の皆がおまえを探してたんだぞ?しかも1時間以上も…」 愛「…ごめんね、崎田クン…みんな…」 崎「気にするなって。そもそも俺が水月にレポートのことふったから気になったんだしさ。それより用紙もあることだし頑張って仕上げようぜ?」 愛「うん…」
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