空白の時間

6/9
前へ
/605ページ
次へ
崎「…ところで、水月…大泉見なかった?」 水月は見つかった。 だか、もう一人……行方不明のヤツがいる。 ふと水月を見ると彼女の目が潤んでいるように見えた。 (え…泣いてた?) 彼女を探している間、気になっていたこと。 (水月はもしかしたら祐と一緒にいるのでは?) 俺は思い切って彼女に聞いてみることにした。 力「…なぁ…おまえ、祐と会ってねぇ?」 愛「ううん…知らない…」 気のせいだろうか。 水月の目が一瞬泳いだように見えた。 最初から疑ってかかっているからそう見えるのかもしれないが、顔を逸らしたところをみるとなんとなく引っかかる。 崎「それにしても、レポート用紙だけにしてはやけに遅かったよな?…何やってたんだ?」 崎田がファインプレー。 俺の聞きたいことを代わりにスムーズに聞いてくれる。 愛「…ゴメン…あの…迷子になっちゃって…」 力「は?ま…迷子ぉ?」 まさかとは思ったが既に1年も通っている校舎内で迷子になっているとはさすがに俺も驚いた。 崎「ほら?やっぱりだよ…まぁ、うちの学校広いしな…ハハッ…」 確かに校舎だけでも3つの棟があり、更に渡り廊下も各階に存在している。 窓が1か所開いていたとはいえ、その場所に戻ってくることはもしかしたら彼女にとったらかなり大変なことだったのかもしれない。 力「なんだ。それで泣いたような目してんのか。まぁ、おまえらしいといえばおまえらしいけどな…ハハッ…」 彼女の方向音痴の凄さは俺も知っていた。 だから俺はその彼女の言葉を疑いもしなかった。 そして彼女がどれほどの罪悪感で俺を見つめているかなんて知る由もなかった。
/605ページ

最初のコメントを投稿しよう!

69人が本棚に入れています
本棚に追加