空白の時間

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力「祐…ちょっといいか?」 俺は水月に荷物を取りに行かせたその間に祐を部室から離れた場所へと連れていった。 祐「…何?」 さっきとは一転して祐の表情はいつものクールな顔に戻っていた。 (こいつ……さっきの水月への対応と全く違うし……一体こいつの表情筋はどんなツクリしてんだ?) 力「単刀直入に聞く。おまえ、まさかと思うけど水月といたんじゃねぇだろうな?」 祐「なんで?」 力「なんでって…勘だよ、勘!」 祐「ふーん…勘ねぇ…クスッ…」 そう言って余裕顔をして笑う祐は俺を苛つかせる。 力「…何笑ってんだよ…つか、質問に答えろよ?いたのかいなかったのか…どっちだ?」 事と場合によったら俺にも考えがある。 こいつをなんとかしていかないと俺は池川に帰れそうもない。 祐「…どっちって……そんなに心配ならさぁ、愛梨に聞いてみれば?」 祐は意味深な言葉を投げかけて俺を見て笑う。 (…えっ?どういうことだ…?) 祐「知らない方がさ、幸せってこともあるしね?」 嫌な予感がした。 力「…知らないって……おまえ……まさか水月に…」 祐は余裕綽々な顔で俺を見つめていた。 祐「…そんなに……気になる?…クスッ…」
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