困惑の中で…

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その場所はかなり緊迫した状態だった。 愛「…力…荷物…とってきた…」 そんな私を見つめる二人の表情は正反対だった。 真剣な眼差しで私を見つめる力に対して祐は笑みを浮かべていた。 祐「お疲れさま。荷物全部あった?」 何事もなかったかの如く祐は私に話しかけた。 愛「…うん…」 祐「そっか。遅くなったね。でも良かったよ。愛梨が無事に帰ってきて。…もう迷子になんかなるなよ?…クスッ…」 力の元に帰ってくることはできた。 だけど無事ではなかった。 力を裏切ってしまったあのキス――― 力の顔をまともに見られない。 キスマークをつけられた後、私は祐にある提案をされた。 祐「俺、一棟の方から出るから。で、先回りして部室に行く。愛梨は二棟の一番南から出て?」 愛「うん。」 祐「それと、俺達二人とも結構長い時間いなくなってるから疑われている可能性があると思う。だから、もし何かあったらその時は全て俺に任せてくれる?…悪いようにはしないから…」 今、祐は私をジッと見つめている。 そしてその瞳でこう語っているようだった。 (『俺に任せて?』) だけどその言葉を信じていいのか分からない。
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