宣戦布告

2/5
前へ
/605ページ
次へ
翔「何やってんだよ…」 緊迫したその状況を打破したのは河合だった。 翔「うちの跳躍選手、もうすぐ試合なんだよな?分かるか?デリケートな競技なんだよ。んな話、愛梨のいないところでやってくんね?」 そう言うと、河合は水月を俺の腕の中から出した。 翔「話終わるまで俺が預かるから…」 愛「…ぁ…せんぱ…」 翔「おまえはここにいても何の解決にもなんねーからさ。」 そして有無を言わさず彼女を部室の方へと連れていった。 河合と水月が去った後、俺は祐を見据えた。 祐は相変わらずの余裕な顔で俺を見ていた。 力「おまえ……水月に何したんだ?」 水月は……俺から目を逸らしていた。 そして目に涙を溜めていた。 長年彼女の傍にいて見てきたからこそ分かる。 ただ事じゃないことが起こっている。 祐「そんなに気になる?…ん、まぁ俺の口からは言うつもりないけどね。」 それは確実に何かがあったと言っているようなもの。 力「…おまえ…一体どういうつもりだよ!あいつに…あんな顔させるって…おまえ水月のこと ホントに好きなのかよ!?」 本当に好きならあんな顔をさせて平気なわけがない。 それなのに祐は心配するどころか平然としていて―― 祐「…力、俺は愛梨に本気だよ。それはずっと変わっていないよ。」 力「だったらなんであんな…」 祐「あんな?力こそ愛梨の気持ち全然分かってないよね?愛梨のあの顔ってさ…何考えてるかホントに分かってるの?…クスッ…」
/605ページ

最初のコメントを投稿しよう!

69人が本棚に入れています
本棚に追加