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翔「何やってんだよ…」
緊迫したその状況を打破したのは河合だった。
翔「うちの跳躍選手、もうすぐ試合なんだよな?分かるか?デリケートな競技なんだよ。んな話、愛梨のいないところでやってくんね?」
そう言うと、河合は水月を俺の腕の中から出した。
翔「話終わるまで俺が預かるから…」
愛「…ぁ…せんぱ…」
翔「おまえはここにいても何の解決にもなんねーからさ。」
そして有無を言わさず彼女を部室の方へと連れていった。
河合と水月が去った後、俺は祐を見据えた。
祐は相変わらずの余裕な顔で俺を見ていた。
力「おまえ……水月に何したんだ?」
水月は……俺から目を逸らしていた。
そして目に涙を溜めていた。
長年彼女の傍にいて見てきたからこそ分かる。
ただ事じゃないことが起こっている。
祐「そんなに気になる?…ん、まぁ俺の口からは言うつもりないけどね。」
それは確実に何かがあったと言っているようなもの。
力「…おまえ…一体どういうつもりだよ!あいつに…あんな顔させるって…おまえ水月のこと
ホントに好きなのかよ!?」
本当に好きならあんな顔をさせて平気なわけがない。
それなのに祐は心配するどころか平然としていて――
祐「…力、俺は愛梨に本気だよ。それはずっと変わっていないよ。」
力「だったらなんであんな…」
祐「あんな?力こそ愛梨の気持ち全然分かってないよね?愛梨のあの顔ってさ…何考えてるかホントに分かってるの?…クスッ…」
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