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沙「先輩っ…お待たせしまし……あっ!」
部室から出てきた沙希ちゃんは私と先輩が一緒にいるのを見ると急いで駆けてきた。
そして私と翔先輩の間に入り込むと先輩を見据えて言った。
愛「あの…河合先輩っ!言っておきますけど、水月先輩にはレッキとしたカレシがいるんです!むやみやたらに近寄らないでくださいっ!」
その勇ましい彼女の言動に私は驚いた。
愛「沙希ちゃん……ぁ……えっと、うん、大丈夫だからっ」
沙「先輩、甘いです!さっきも言ったじゃないですか。先輩には藤沢先輩がいるんですよ?こんな人と一緒にいちゃダメです!」
翔「は?こんな人扱いかよ……ふぅ~ん……先輩思いのいい後輩だなぁ…クスッ…」
そう言うと先輩は沙希ちゃんに近づいていく。
沙「…な…なんですかっ!」
負けじと先輩を見据える沙希ちゃん。
そんな沙希ちゃんの顎を先輩はいきなりクイッと持ち上げ、
翔「…へぇ…なかなか強気なヤツだな。さすが愛梨の後輩。可愛がってやってもいいぜ?」
さすがの沙希ちゃんもそのセリフにビックリしたのか硬直してしまった。
愛「先輩!ちょっと…私の後輩に…やめてください!」
そういうと先輩は突然私の腕を引き寄せ、その腕の中に閉じ込めた。
!!?
翔「…冗談だって。俺、こいつには全然興味ねーし。つか、俺は…おまえ一筋だからさぁ……」
そして沙希ちゃんに見せつけるように私の髪に手を絡め始めて……
愛「ちょ…先輩…冗談もいい加減にしてくださいっ!」
翔「…いいじゃん、これくらい。俺とおまえの仲だろ?」
もう完全に楽しんでる。
そして私たちを見る沙希ちゃんはワナワナ身を震わせていた。
沙「…み…水月先輩っ!こんな人、相手にしちゃダメですっ!」
そういうと沙希ちゃんは私を先輩の中から引っ張り出して、
沙「早く帰りましょう!」
沙希ちゃんに引っ張られながら私は先輩の方を振り返る。
(あぁ……したり顔………あれは完全なる悪戯だ……)
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