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部室から少し離れた場所に水月は不安そうな顔をして河合といた。
翔「ようやく…だな?」
そういうと、河合は水月の肩をポンッと叩いて彼女を俺の方へと押し出した。
愛「…きゃっ…」
力「おわっ…」
俺の胸に彼女は倒れかかり、俺はそんな彼女を抱きとめた。
そんな俺達を見ながら河合が言った。
翔「…藤沢……分かってるとは思うけど甲子園に出られなくなるようなことだけはすんなよ?」
思わぬ言葉が飛んできたものだから俺は驚いた。
(俺のことを心配しているのか?水月も言っていたが、もしかするとコイツは案外いいヤツなのかもしれない?)
翔「おまえが甲子園に出られなくなったりしたらさ、愛梨は自分を責めてまた跳べなくなっても困るしさぁ。」
前言撤回。
どうやら俺の単なる勘違い。
まぁでも、河合は水月の跳躍をみているらしいし心配はするのは当然かもしれない。
力「…俺もバカじゃないんで……」
と言ってみたものの、さっき思わず祐の胸倉を掴んでしまったのだが――
翔「そうか?…ククッ…まぁ分かってんならいいんだけどさ…」
遠目からでも見えたのだろうか。
河合は俺を見て意味深に笑った。
翔「さ、帰るか。遅くなったし俺も帰るわ。藤沢、愛梨を頼んだぞ?」
そう言って河合は去っていった。
この時、やっぱり河合はいいヤツなのかもしれないと俺は思った。
力「俺たちも…帰るか…」
俺はそっと彼女の手を握った。
冷たくなった彼女の手を絡ませるように握りなおすと俺は言った。
力「水月…大丈夫だから…」
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