救世主到来

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愛「…そんな…こと…ない………だけど……ヒック…」 俺の腕の中で彼女は更に肩を震わせた。 そんな彼女の背中を俺は何度も擦った。 力「…だけど……どうした?…ん?」 愛「…私……サイテー…な…の……」 (…え?最低って…) 祐が最低というなら理解できるが彼女が最低とか意味が分からない。 彼女は自分を責めているということか? だけどどうして? 力「おまえが最低なワケないだろ?」 何か思い違いをしているのかもしれない。 だとしたら早く楽にさせてやらないと。 だけど次の瞬間彼女から出た言葉は思いもよらない言葉で―― 愛「…私……好きじゃないのに……あんな……サイテーな……っ……ぁ…ぅ…」 彼女の感情が一気に溢れ出した。 (好きじゃないのに…?…どういう…ことなんだ?) 昂ぶる彼女の感情。 だけど俺もまたその言葉に同じように心が揺さぶられていた。 力「水月……落ち着け…」 自分にも言い聞かせるように俺は言った。 お互い落ち着かないとダメだ。 だけど今のままじゃ到底無理だ。 (…あ……) 俺はふとあることを思いついた。 彼女が穏やかな心を取り戻せる唯一の方法―― 力「…水月……ちょっとだけ待ってろよ?」 そう言って彼女をソファーに座らせると俺はその部屋を後にした。
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