救世主到来

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力母「あら?騒がしいと思ったら……真クンに西野さん、お久しぶり。今日は遊びに来てくれたの?」 そこへ母さんがひょこっと顔を出した。 おそらく、さっきの真の声を聴いて何事かとロビーを覗きにきたに違いない。 真「はいっ!何か…力が悩み事あるみたいで……水月ちゃ……うぐぐぐ……」 !!! 俺は真の口を慌てて塞いだが、時既に遅し。 そんな俺を見る母さんの目は冷ややかだ。 (…あ…やばっ……) 力母「…力……またあなたは…。言ったでしょ?女の子は泣かせちゃダメだって…」 更に追い討ちをかけるように西野の声が聴こえる。 由「…『また』?…へぇー……愛をよく泣かせてるんだぁ?」 その声に振り返ると西野が意味深な目で俺を見ていた。 (…うわっ……マジか…こっちもヤベェ…) そんな焦る俺を無視して、母さんはまたもやとんでもないことを言い出した。 力母「西野さん、真クン……ねぇ? 久しぶりだしせっかくだから今晩泊まっていかない?」 (げげげーーーーっ……) 真「…マジー!いいんですか?」 力母「もちろんよ。それに水月さんが力に泣かされているんだったら尚更ね。ちゃんと力にお友達からもいろいろ言ってもらわないと…ね?」 そういうと母さんは俺をチラリと見た。 (…マジか……) 由「そうですね。私も友達としてほぉっておけないですから…」 西野の目がキラリと光った。 (…こ…これは……つか、女ってコワい…) 力母「そうとなればお部屋ね。用意できたら知らせるから、それまで力と水月さんの部屋にいてくれる?」 そういうと母さんは一目散にフロントの方へと向かった。 そんな母さんを目で追う俺に二人の痛い視線が突き刺さってくる。 (…えっ!?な…なんだ!?) 真はニヤニヤ、西野は鋭い目で俺を見ている。 由「ちょっと…アンタ。さっきGW中は俺の家にとか言ってたけど、あんた達、まさか旅館の部屋で一緒に過ごしてるわけ?」 ドキッ…… 力「…えっ…あ……そ…それは…」 真「ってことは、おまえ、水月ちゃんに毎晩…?」 !!! 力「…いや……その…」 二人に囲まれた俺が逃れられるわけはなく―― 質問攻めにあった俺は結局彼女とのことを吐かされたのだった。
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