救世主到来

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――――――――――――――― ――――――――――――― ――――――――――― 力「頼むから水月の前でそういう話はするなよ?」 俺は真と西野を俺たちが過ごしている部屋へ案内していた。 真「大丈夫だって!心配するなよ~」 心配しないはずがない。 何故なら真の顔はかなりユルユルのニタニタ顔。 真「水月ちゃんと会うのって久しぶりだよなぁ~。やっぱ『オンナ』の顔になってんのかなぁ~」 いくら真とはいえ、そんな目で水月を見られるかと思うとなんとなく気に入らない。 力「ヘンな想像すんなよっ」 真「別におまえみたいな目で見るわけじゃないしー」 興味本位なのか楽しみにしているような顔の真。 (だけど実際に彼女の今の様子を見たら……) そうこうしていたら部屋に着いた。 力「この部屋…」 部屋に着いた俺は一応ノックをしてみた。 部屋の中から返事は聴こえてこない。 彼女がいる和室へと続く襖に手をかけながら俺は声をかけた。 力「…水月…待たせた………って…え?」 水月はソファーで横たわっていた。 (えっ?…寝てる?) 起こさないように音を立てないように彼女の元へ近づいていくとやはり彼女は眠っていた。 由「…待ちくたびれたんじゃない?」 西野もまた後ろからやってきて彼女を覗き込む。 (…あ……) どれだけ泣いたんだろうか。 擦った後なのか、目の周りを真っ赤にして涙の跡を残したまま彼女は眠っていた。 由「…愛……」 その姿に西野も気づいたのだろう。 真とともに心配そうに彼女を見つめている。 力「…俺がちゃんとついててやってたら…」 一緒にいたにも関わらず、たった一瞬のうちに笑顔を失った彼女。 後悔してもしきれない。 由「これ、あったけど…使う?」 どこからか西野が布団を持ってきた。 力「さんきゅ…」 その布団を彼女にかけると俺達は奥の部屋へと移動する。 そして西野が言った。 由「…で、もうちょっと詳しい話聞かせてよ?一体何があったんだ?」
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