救世主到来

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想定内の回答だった。 だけど多少想定外の回答があってもいいんじゃないだろうか。 (っつーか、それって今の祐そのものじゃねーかよ…っ…) 由「まぁでも外見はともかく『王子』って言うんなら『王子のように姫を扱える』ってのがポイントじゃない?」 (王子のように姫を扱う?なんだ、それ?ワケわかんねーし…) 力「…なぁ?それってどういう風にすればいいわけ?」 俺は真剣に考えていた。 そんなことで水月のタイプの中に少しでも俺が入るのなら俺は何だってやりたいと思った。 彼女にもっと好きになってもらえるんだったら俺は―― 由「あー?そうだねぇ…んー…例えばお姫様抱っことか?」 力「えっ!」 (お姫様抱っこ……って……何だそんなコトかよ…) 俺の肩の荷が一気におりた。 そんなことならいくらでもやってやれる。 そういえば、崎田の話では水月がクラスマッチで倒れた時、祐は王子のように水月を抱えて保健室にいったとか言っていた。 そしてそれが引き金で噂になってしまったとか。 俺だって県大会の時、彼女が足を痛めた時にお姫様抱っこをしたことがある。 それにGWに帰ってきてからもこの部屋で何度となく━━ ということは、俺も水月の『王子様』になれる権利があるってことだ。 力「それなら俺もよくやってっからクリアってトコか!?…で、他には?」 機嫌を良くした俺は西野に更なる質問をした。 そんな俺をどうしたことか西野は白い目で見ていて―― 由「あんた……『よくやってる』って?…愛をお姫様抱っこなんかして何処に連れて行ってんのさ?」 (…あっ……やべっ…) 完全に西野は俺のやっていることを見透かしているようだった。 決してこいつらの前でそれを答えられるわけがない。 『布団』『風呂』…… そんなところに連れてっているなんて言ったらまた変態扱いされるのがオチだ。 力「ど…どこでもいいだろ…」 真「…まぁ、大体想像はつくけどさ…」 そういってまた二人でうんうん頷いている。 (つか、想像つくなら聞くなっつーのっ!) 由「けど、お姫様抱っこったって祐とあんたは違うからね。祐はあの子の記憶の中では『白馬に乗った王子』。だけどあんたはただの『エロ王子』じゃん?質が違うってもんだよ。」 力「…おいっ…誰が『エロ王子』だっ!?」
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