救世主到来

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と言ってはみたものの、確かに俺はあいつに最近エロいことばっかしてる。 だから否定はできない。 俺は思わずうな垂れた。 考えてみれば俺はどう頑張っても『王子』キャラってガラじゃない。 例え同じことをやっても、祐だとまた違うのだろう。 マジでアイツの見た目は『王子』そのもの。 俺も再会した時、その姿に驚いたわけだし。 そんな理想のタイプである祐に見つめられた水月が祐から目を離せなくても仕方ないのかもしれない。 力「…なんだかなぁ……あー…」 俺は思わずため息を漏らしていた。 由「…そんなにいいかねぇ……祐なんかさ…」 力「さぁな…。けど、少なくとも俺よりは『王子』キャラ…」 由「それでもさ、今の愛の彼氏は祐じゃない。アンタなんだよ?もっと自信もって…」 と、その時だった。 愛「…ん……うぅん…」 ソファーのある部屋の方から水月の声が聞こえてきた。 水月が目を覚ましたのだろう。 俺は急いで彼女の元へと向かった。 力「…起きたか?」 起きたばかりの彼女は朦朧とした感じで天井をボーっとみていた。 愛「…ぁ……」 俺に気づいた彼女は我に返った。 そして目を合わせた途端、またツラそうな顔をして俺から目を逸らした。 力「…そんな顔…すんなって…」 俺は彼女をゆっくりと起こすとソファーに座らせた。 そして俺もまた彼女の傍に座ると頭を囲うようにして抱きしめた。 寝ている間に乱れただろう髪の毛をとかすようにして頭を撫でる。 愛「…ごめ…ん…」 俺の腕の中で、か細い声が聞こえた。 力「…何謝ってんだ?…ん?」 愛「…ぁ…寝ちゃってて……ごめんね…?」 力「…ん……いろいろあったしな。…おまえ…疲れてたんだよ。」 そんな彼女の頭に顔を埋めた俺はキスを落とした。 愛「…力……」 彼女が俺の胸にギュッとしがみ付いてくる。 力「…水月……ん?どうした?ってかおまえ温かいな…クスッ…」 愛「…ぁ…布団の中にいたから……布団かけて…くれたの?」 そう聞かれて俺は大事なことを思い出した。 と、同時に彼女の肩がビクッと動いて―― 愛「…えっ…?ゆ…由利ちゃん!?」 由「…へぇ……なるほどね…クスッ…」 気がつくと、俺たちのいるソファーの正面に西野と真もまた座っていて俺たちをジッと見ていた。 (…し…しまった……忘れてた……コイツらの存在…)
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