救世主到来

13/16
前へ
/605ページ
次へ
由「元気だった?」 西野は水月を安心させるように頭を撫でながら問いかけた。 愛「うんっ」 由「力に苛められてない?」 (苛める?苛めてねーっつーの!) 愛「うん。大丈夫。力は優しいよ。」 (お…俺、水月に優しい…って水月に思われてんだ…) 由「嫌なことされてないか?」 愛「え?嫌なことって…?」 由「無理強いしたり…」 (ちょ…してねーっつーの!) 愛「うん。してないよ。」 由「アンタ……ちゃんと寝てる?」 愛「うん。力が一緒だし…ちゃんと…」 由「そっか……安心ねぇ……」 瞬時に西野のその鋭い視線が俺に飛んできた。 キラーンッ! (っつーか、西野のヤツ……何聞いてんだよ!?) そして、更に話が続いていく―― 由「そういえばさ、お風呂はどうしてんのさ?」 (…ふ……風呂って?) 愛「…あ…そこの露天風呂使わせてもらってるんだー。」 由「そっか……。ちゃんと力の背中流してやってる?」 愛「…えっ!?…あっ…う……うん…」 !!! 俺はその西野の誘導尋問的な聞き方にストップをかけようとした。 力「…っ…西……!…うぐぐ…」 しかし、そんな俺の口を真が塞ぐ。 しかも、水月は俺の方に背中を向けているから俺が今どういう状態なのかわかっていない。 そして、更に西野の質問は続いていく。 由「…そういえば……愛…『女』になったんだって?」 愛「えっ!」 あろうことか西野はとんでもないことを尋問。 だが、真に羽交い絞めされている俺はそれを止めることができない。 由「良かったな?」 愛「…う…うん…」 (えっ…ってか、今、水月、『うん』って頷いた?それは…ちょっと俺的には嬉しいかも…) と思ったのも束の間、西野は更に質問をエスカレートしていく。 由「力に…ヘンなこととかされてない?」 (…西野……おまえ……) 俺は西野を睨む。 だが、西野はそんな俺を余裕な顔でチラッとみるだけ。 愛「…ヘン…?…んー…そんなことないと思うけど……でもっ、たまに力って……変わったことする…かなぁ…」 !!! 西野には絶対的な信頼を置いているせいか、水月はいつもに増して素直。 だけど、これ以上は黙ってはいられない。 俺は無我夢中でその真の手を退けた。 力「だっーーー!!!水月っ!」
/605ページ

最初のコメントを投稿しよう!

69人が本棚に入れています
本棚に追加