69人が本棚に入れています
本棚に追加
それから一時間もしないうちに、西野と真が帰ってきた。
愛「由利ちゃん、おかえりー!」
部屋に入ってきて早々、水月は西野に抱きつく。
由「おいおい…あんま私に抱きついてたら力がヤキモチ焼くぞ?」
愛「え?」
水月は俺の顔を見ると、目が合った瞬間、一気にその表情を暗くした。
……まただ……
きっと……思い出したんだな……
…あぁ……
…なんとかしてやりてーよ……
その俺たちの空気感に気づいた西野。
由「それじゃぁ、愛、一緒にお風呂入ろう!」
愛「えっ?」
いきなりの風呂の提案に、水月は驚く。
由「せっかくだしさ、たまには一緒に入ろう?」
愛「…え……でも……」
西野とは幼稚園の頃からのつきあいだし、風呂に一緒に入るくらいどうってことはないはず。
だが、明らかに水月はその表情を曇らせた。
(…どういう…ことなんだ?)
俺もまたその彼女の表情に不安を覚えた。
だが、その俺の不安を蹴散らすようなことを西野は言い始めて――
由「んー…あんたの大人になったカラダなんて見たことないしさ。力にだけ見せるのはもったいないからね。今日は私があんたを隅々まで洗って…」
彼女を抱きしめながら西野は俺にまた挑発的な目線を送ってくる。
(…に……西野のヤツ……!!)
俺の水月を洗うとか意味不明過ぎ。
由「女同士だし、問題ないよねぇ?」
戸惑う水月を宥めるような声色で西野がそういうとようやく水月は了承した。
愛「…う…ん…」
由「じゃ、決まり……ってことで…」
勝ち誇ったように西野が俺をニヤリとみる。
西野の前では俺はいつも敗北者。
ずっと水月は俺と入ってたのに、西野に楽しみを取られたようでちょっと納得がいかない俺。
すると、そんな俺にニタニタしながら真がすり寄ってきて、
真「そしたら、俺は『力の』洗ってやるよっ!仲良く洗いっこしよーぜっ!」
力「って、いらねーしっ!!」
最初のコメントを投稿しよう!