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由「じゃ、アンタ達は大浴場でも行ってきたら?私らはこの部屋の露天使わせてもらうからさ。はいっ!行った、行ったっ!」
由利ちゃんは力と真クンを部屋からあっという間に追い出してしまった。
由「さてと……ん、じゃ、風呂入ろっかっ」
由利ちゃんは持ってきた荷物の中から着替えを取り出してお風呂の準備を始めた。
愛「…ねぇ…由利ちゃん……お風呂…ひとりずつ入らない?」
由「え?なんで?」
愛「だって……」
由「なーに今さら恥ずかしがってんの?大丈夫よ。さっき言ったこと気にしてんの?あんたのカラダなんて洗いやしないから。さっ、準備して!」
そういうと、私の背中を軽く叩いた。
(…どうしよう……)
私はジャージのファスナーを握りしめた。
由「何?さっきから……もたもたして。早く服脱いで。何なら私が脱がせてあげよっか?」
愛「ううん。いいっ。自分でできる。」
そう言いながらも私は着替えすら用意することができなかった。
そんな私に由利ちゃんは、
由「…愛……先に話しよっか?」
愛「え…」
そう言うと、由利ちゃんは持っていた着替えをそっと鞄の上に置いた。
由「…で、あんた…なんで泣いてたの?」
どうして由利ちゃんは私が泣いていたことを知っているのだろうか。
もしかして力が?
愛「…え?どうして……」
由「そんなの、その顔見ればわかるよ。ぶっ細工な顔しちゃってさっ…」
愛「…ぶ……不細工?……私……そんなに?」
泣き過ぎると、翌朝、私は目が腫れたりする。
その時の顔ときたら幽霊みたいで――
恥ずかしくなって思わず私は顔を覆った。
由「嘘だって…クスッ…」
それは由利ちゃんの冗談。
その場を和ませてくれようとしていたよう。
愛「もうっ…由利ちゃん、ヒドいよ!」
由「ごめんごめんっ…けどさ、あんた、さっき眠ってるとき、ホントにツラそうな顔してた。涙、流した跡があったからちょっと心配してたんだ。ん、あんたが眠ってるトキさ、力……凄い心配そうな顔してたよ?」
愛「…力……が?」
由「そう。もう生きた心地してないような。あの力がねぇ…ってカンジだったよ。」
私は彼に心配かけないようにと思っていた。
だけど、それが逆に心配をかけていたようだ。
愛「……私……」
由「あのさ。言いにくいことなのかもしんないけど、んー……私には正直に言ってくんないかな?」
全てを見透かしているような由利ちゃんの目はやっぱり誤魔化せない。
由「…なんか……あったんだろ?」
その由利ちゃんの包み込むような優しい表情に私はまた涙が溢れだした。
愛「…由利ちゃん…っ…」
由「あーあー……また泣いて。ったく、なーに泣いてたんだよ?ほらっ。ちゃんと聞いてあげるからさ。ね?大丈夫だって。私が絶対に解決してあげるからさ。」
由利ちゃんはいつも私の味方でいてくれる。
私は抱えていたものを少しずつおろせる気がした。
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