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由「…で、何があったの?力が何かしたの?」
(…力……)
その名前を聞くと今の私は凄くツラくなる。
だって私は彼を裏切ってしまったんだから―……
愛「…違う……力じゃない…」
由「じゃぁ、何が原因なの?学校のこと?」
愛「…学校……うん……」
校舎で……私は祐にキスをされた。
そして、そのキスに身動きひとつできなくなって、祐にされるがまま、私はそのキスを受けて、しかも、あろうことか感じてしまった。
由「…いつのこと…?」
愛「…えっと……ん……今日……」
由「…何処で?」
愛「…校舎……」
あの瞬間の記憶が蘇ってくる。
あの校舎……あの教室で……私は祐に抱きしめられた。
そして……
由「GW中は力も一緒に部活出て、あんたの400教えてるっていうじゃん?なんで一緒にいるはずなのに?」
力は、着替え以外のトキはいつも私の見える位置にいてくれた。
でも、あの校舎へ行ったトキは、少しの間だと思っていたし、力に言わなくても問題ないと思って何も言わずに部室を飛び出しちゃったわけで―――
けど、まさかあんなことになるなんて思ってもみなかった。
愛「…私が力から離れちゃったから、黙って校舎になんか行っちゃったから……だからっ…」
後悔してもしきれない。
こんなコト、力に知られたら、きっと彼は、凄く怒って私から離れていってしまうかもしれない。
力を……彼を失いたくない。
そう思ったから私は祐にお願いして――…
そしたら彼は私の首筋に――…
でも、結果、私は優しい彼を騙してしまった。
こんなの、許されるわけがない。
由「……あんた……今、すっごいツラそうな顔してるよ。けどね、それをこのままにしておいちゃダメだって。愛の力に心配かけたくない気持ちは分かる。でも、黙っていても何も解決しないんだよ?それでなくても遠距離なのに、このままギクシャクしたまんまだとヘタしたら『さよなら』になっちゃうよ?」
(さよなら……?)
愛「そ…そんなの嫌だよ…っ…」
由「だったら、ちゃんと言わないと…」
愛「でも、言ったら…嫌われちゃうよ…」
祐とキスしたなんてそんなこと言えるわけがない。
前に先輩にキスされた時とはワケが違う。
だって、祐は――…
由「愛?力は絶対に愛を嫌いになんかならない。ううん、なれないよ。何があってもね。」
愛「何があっても……嫌いにならない?」
由「…そ。だからさ、とにかく私に話してごらんよ?」
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